ニュースレター 第11号

目次

特集 第3回大会報告号

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第3回福岡大会を終えて 安部計彦(大会委員長) 西南学院大学

7月5日、6日の第3回学校ソーシャルワーク大会を無事に終了することができました。これはひとえに参加されたみなさまをはじめ、会員のみなさまのおかげだと感謝申し上げます。特に参加申し込みや抄録作りなど大会準備全般を担当していただいた福岡県立大学の門田光司先生には厚くお礼申し上げます。

ところでご存知のように、本年は文部科学省の「スクールソーシャルワーカー活用事業」の初年度であり、「学校ソーシャルワーク元年」とも言える年です。この事業が前年度末に正式決定されこともあり、各都道府県や指定された市町村の教育委員会、配置される学校、そして何より学校ソーシャルワーカーとして配属されている人たちにとっても、その業務内容や担当範囲、学校カウンセラーとの住み分けなど手探りで試行錯誤の状況です。そのため本大会には当初の予想を大幅に上回る300名近い参加者があり、その多くが非会員でした。

このような状況はある程度予想できたので、大会開始前に学校ソーシャルワークについての野田正人理事による基礎講座を初めて開催しましたが、ここにも170名近い参加者がありました。また学会の基調講演として数年前から制度化されている韓国の学校ソーシャルワークの状況や文部科学省岡本泰弘先生の活用事業の説明、それに先行的に取り組んでいる北九州市での取り組みを中心にシンポジウムを行いました。また2日目には13の研究報告や各地の状況も報告されました。

その中で、少しでも情報を得たいという参加者の切実な気持ちを感じました。逆に今後数年間は、学校ソーシャルワークの必要性が鋭く問われる事態になりました。

学会として新しいステージに立てた喜びと同時に、今後の課題の多さを実感した大会であったと思います。

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学会シンポジウム報告「学校・家庭・地域の協働と学校ソーシャルワーク」 門田 光司 福岡県立大学

学校教育現場が抱える児童生徒への対応に対して,今日,わが国では学校・家庭・地域の協働が求めれている。そして,その中心的な支援としての役割機能を担うのが学校ソーシャルワークであり,その実務を行うのがスクールソーシャルワーカーである。そこで,第3回大会では,学校ソーシャルワークの役割機能と,スクールソーシャルワーカー導入にあたっての課題や役割について再確認していくことを大会テーマとして,シンポジウムを開催した。

まず,渡邉安朗氏(北九州市立今町小学校校長)からは,文部科学省の伝え合う力を養う調査研究事業と、北九州市の学力向上ステップアップ事業についての取り組み報告がなされた。また,平池秀幹氏(北九州市立城南中学校校長)からも,今町小学校と協働して中学校で取り組んでいる文部科学省の伝え合う力を養う調査研究事業について報告がなされた。両校とも生徒指導上の課題を抱える学校であるが,中学校区で協力し,小・中連携を強固に推進している。両氏の報告では,学校は子どもの学力の向上を図ることを目的に据えているが,それに加え,生活習慣やソーシャルスキルの育成も求められてきている。そのためには,学校・家庭・地域の協働が欠かせない。そして,これらの協働を図る上で,学校ソーシャルワークによる支援の必要性が報告された。

他方,スクールソーシャルワーカーの導入を図った竹田賢治氏(苅田町教育委員会学校教育課指導係係長)からは,文部科学省の「問題を抱える子ども等の自立支援事業」(平成19年度新規事業)を受け,教育委員会として不登校対策事業に取り組むことになったこと,そして,事業内容としては,①Q-Uテストを活用した校内での不登校の早期発見と校内ケース会議による早期対応,②家庭生活を起因とする不登校への取り組みとしては学校・家庭・関係機関の協働を担うスクールソーシャルワーカーの導入を実施していったことが報告された。特に中学校においては,不登校生徒の背景要因として家庭生活を起因とするものが45%であった。そのため,スクールソーシャルワーカーの導入を積極的に推進していった趣旨が報告された。

さらに,スクールソーシャルワーカーとして活動する奥村賢一氏(福岡市教育委員会)からは,「協働」をキーワードに子どもや保護者,教員とのつながりを築いていくことの大切さと学校ソーシャルワークの役割機能について報告があった。

今回のスクールソーシャルワーカー活用事業に際しては,①教育委員会や学校が学校ソーシャルワークについて理解し,スクールソーシャルワーカーの活動を支援したり,一緒に協働して取り組んでいく環境体制を築いていくことが大切であること,そして②スクールソーシャルワーカーの専門性を高めていくことで子どもや保護者,教員より信頼される専門職となっていくことが重要である。その意味で,本大会のシンポジウムでは,小・中学校,教育委員会ともに学校ソーシャルワークを理解していただいた上でのスクールソーシャルワーカーに期待する役割と活動,及び実際にスクールソーシャルワーカーがどのような活動をするのかを具体的に各発題者が提示していただけたので,大会参加者にとっても大いに参考となるシンポジウムであったのではないかと考える。

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基調講演報告 韓国スクールソーシャルワーカー協会パク・キョンヒョン会長をお迎えして 大門 俊樹 東京福祉大学

2007年10月某日早朝、ソウル市東大門警察署裏のホテルまでパク会長は訪ねてきてくださった。度重なる韓国調査でお世話になっていた僕は、ホテル近くでモーニングコーヒーを飲みながら、「明年の福岡大会で基調講演をしてほしい」という門田代表の要請を伝えたところ、二つ返事で快諾して下さった。

2008年7月4日、快晴の福岡に到着したのは会長だけでなく、副会長・SSW法制化に尽力されている顧問弁護士・SSWr2名・通訳2名・副会長のご長男の計8名という一行であった。急に参加人数が増えたのは、SSWに関する相互交流の必要性や日本でSSW事業が拡がっていることを認識されたからではないかと推察する。

日本人3名と韓国人8名という妙な(?)取り合わせのこの一行は、門田号と奥村号(福岡SSWr)の2台に分乗し、県内の学校・関係機関を巡るツアーへと出発した。志免町教育長の歓待を受けた後、町内の中学校・小学校を廻り、午後は福岡市内の特別支援学校から福岡市こども総合相談センター(えがお館)と一日中引きずり回した(実は引きずり回された?)おかげで、パワフルな韓国の面々をかなり疲れさせてしまったようだった。男性SSWrのほとんどいない韓国一行にとっては、イケメン男性SSWrの存在も大きな驚きだったようである。

翌日、お疲れにも関わらず、パク会長は、「韓国におけるSSW活動とその課題」と題して貴重な基調講演をして下さった。詳細な資料を要旨集に載せて頂いただけでなく、わかりやすいパワーポイント資料をご準備頂き明解な講演であった。要旨集資料の訳出と講演の通訳は九大大学院で心理学を修められた宋さんに務めて頂き、その明確な通訳にも感謝したい。

韓国における学校社会福祉の展開過程や現状については僕もいくつか訳出しているが、CostinやAllen-Mearsなどの理論を基軸として活動が進められてきた。また、教育人的資源部(日本でいうと文部科学省)や保健福祉部(日本でいうと厚生労働省)の事業が中心であったが、We-Startや各種団体による事業も進みつつあり、日本においても民間の力が活用できないかと考えたのは僕だけではなかったかもしれない。学校社会福祉士の役割については、時には教師として、時には政策提言家としての役割があることも指摘され、日本のSSWrよりも幅広い役割を担っていることを実感した。

最後に資格制度の概要を紹介された。1級社会福祉士資格と2年以上の実務か社会福祉学修士学位を基軸とする同制度は、確たる資格制度を持たない我々には学んでいくべきシステムである。学校社会福祉論・児童青少年福祉論・教育学関連科目の履修や年240時間以上の実習に加えて合格者に宿泊基礎研修を課すところなども大きなヒントとなるだろう。最大のソーシャルアクションとなる学校社会福祉士法制化運動についての動きについても決して目が離せない。通訳も交えて80分の講演が短すぎると感じたのは果たして僕だけだっただろうか。

2日間、韓国の一行と接して感じたことは、単純ではあるが、これだけ大きな組織(全国会員2500名、うち学校社会福祉士資格者540名)であるにも関わらずたいへん仲が良いということである。特に、会長とSSWrたちとのコミュニケーションの良さについては訪韓の度に感じてきたことである。これはまさに、会長ご自身が後進の育成について真摯に取り組まれてきた結果であり、日本にとっての人材育成のあり方を考えさせられた思いであった。

韓国から学ぶべきことは多くあると考えている。特に韓国で確立している資格制度並びにSSWrの養成教育に関しては日本でも早急に議論を進める必要があり、大学での教育、学校での実習、基礎研修プログラムやスーパービジョンなど、さらに踏み込んで教えを請う必要がある。この件については学会においても重要視するであろうが、今後、韓国での現地調査を含めて詳細な情報収集をするとともに、こうした動きが日韓のSSW研究・実践交流へと大きく展開することを願いつつ、報告を終了したい。

「基礎研修」を担当して 野田正人 立命館大学

 今年度から文科省によるSSW活用調査事業が始まったことをうけて、学会も研修体制を充実させようということになり、第3回大会とあわせて学会主催の形で学校ソーシャルワーク基礎研修を実施することになった。日頃理事としての働きが悪いこともあって、この研修をお引き受けすることになったが、考えれば考えるほど、何を共通事項としてお伝えしたら良いのかについて迷いが生じ、大会案内には「学校ソーシャルワークによる支援」というテーマで、いわば何でもできる状況とした。

担当理事からは、レジュメを早く送れという催促もいただきつつ、何とも迷い迷いで、筆の遅いことこの上ない状況であった。迷いというより、踏ん切りがつかないという方が近い状況であるが、それは私としては一応何が重要であるかということでは考えがあるが、そのことがSSW関係者の合意となっているかというとそうではないというところからくる迷いであった。私としては、SSWはある程度学校の児童生徒や家庭への支援に関して必要において、そのシステムを変化させる働きかけをすることが原則であると感じてきており、SWの特性からしてある種必然であるとも考えているが、この点をどのような形であくまで基礎とされる研修でお伝えするかというかという迷いである。

結局、当日のレジュメは「SSWの活動と、アセスメント」というタイトルの下、いろいろな活動の形があることに留意しながらも、アセスメントとプランニング、あるいは見立てと手だて、という形で表現させていただきつつ、アセスメントをしっかり行うことに力点をおいた。

せいぜい30人程度のゼミ的ワークショップを考えていたが、150人という大人数だったため、一方的な話となってしまった。話の流れとしては、SSW的視点の特徴、アセスメント、具体的アセスメントの枠組みとしての生理・心理・社会モデル等の紹介、アセスメントの実際、学校での立ち居振る舞いのこつ、などを紹介した。

アンケートを47名の方が返して下さっており、多くがより深く具体的な研修の必要性を語っておられたので、また別の機会に反映させていただきたいと思っているが、主観的には手応えのある、反応のよい研修会であった。学会の課題としては、今後発行されるテキストも含めて、基礎と応用の内容の標準化と水準の向上ということになろうか。

参加して協力して下さったみなさんに、感謝します。

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自主シンポ報告 学校のニーズと実態、そしてSSW活動 ~SSWに関する実証研究報告(科研)~ 山野則子 大阪府立大学

1.シンポジウムの目的

文部科学省が、2008年からSSW事業を予算化したが、大阪では2005年から先行して府独自でSSW事業を実施してきた。この3年間の実績から、明らかに近隣の府県や市町村に影響を与えてきている。例えば、本年度国予算以外の市独自で予算化した市町村が府内8市で出現した。そのような動きを作ってきた大阪においてのSSWに関する実態調査を2007年度から文部科学研究により、実施している。そこで行なってきた学校へのニーズ調査と3年間学校現場に入ってきた実績データから学校の実態把握とSSWrはどうあるべきなのかを探る目的で企画した。

2.大阪における教員のニーズ実態調査

学校の実態・ニーズを把握するための調査を、2007年9月、大阪府内の小学校、中学校教員対象に実施した。8626人に配布し、3089人の回答を得た(回収率47.14%)。この時点で大阪府下のSSWrは、府採用、府内の市独自採用含めて13人である。たった13人でSSWrが自身の学校に入ったことがあると答えた教員は37.0%、関わったことがあると答えた教員は25.4%であった。さらに、SSWrが有効であると答えた教員は、86.9%、そのうち事例に対して有効が62.2%、校内体制作りに有効が25.5%であった。SSWrをよく知る特定地域において調査を行ったわけではない、今回の大規模調査のこの数字の意味は、大きいと考える。教員の困りごととSSWrが入ったことの有無によるクロス集計では、子どもの知識、福祉の知識、技術を知りたいと思っている教員が多い結果であった。これは現場の教員の希望で入る例もあるが、教育委員会が必要と思うところに入る例も多くあることを鑑みると、SSWrが入ることで掘り起こされて、ニーズが上がってきていることも言えよう。また実際に有効だったと感じてくれている教員は、有効でないと答えた教員に比べて、経済的問題(教材費の滞り)や生活問題(服装や食事がきちんとできていない)などの項目に有意に高く視点が向けられていた。活用の仕方の示唆を得ることができる。

3.大阪府のデータによる実践報告

大阪府教育委員会は,2005年度からの3年間、初めの2年は大阪府下の7地域に配置校を決めてSSWrを派遣してきた。チームで対応するために、ケース会議の定着を目標に取り組んできた成果もあって、1年目の1校辺り月2、3回だったケース会議が、2年目には配置校への出勤は減っているにもかかわらず(派遣も仕事になったため)、1校辺り月3、4回に増え、総合すると100回近く増えている。これは、上記実態調査にも反映され、たった13人による働きかけであってもケース会議による校内体制作りに有効だったという評価につながっている。

問題種別では、不登校、児童虐待の数値が高く、児童相談所の学校からの虐待相談に比較して、かなり高い割合で児童虐待に対応している。また、各市によって活用の仕方が様々で、性格行動の相談が多い地域、ネグレクトの相談が多い地域など、各市あるいは各SSWrの特徴がみられる。今後の課題として、述べ件数がケース数に比べ多くなっている児童虐待問題が発達相談や非行との関連も踏まえて、学校におけるアセスメントに重要な役割を持つ必要があるなど、データから課題を何点か提示した。

4.学生による学校支援の視点から

 学校に支援員として活動している学生で、教育実習、児童相談所実習の双方を体験した立場から、教員側から見えるものと福祉側から見えるものの違いに学生の視点で驚きがあったという報告がなされた。現在、養成校協会においてSSW養成のカリキュラム検討をしているが、単に学校に入るだけではSSWr実習になり得ない問題提起であった。

以上の報告を受けて、コメンテーターの野田正人氏(立命館大学)からは、事業の初めに今回の調査のようにデータ化する意味の大きさ、今後残された課題の分析への提言、非行や児童虐待は教員の視点が養われていないと気づけない、ここにアプローチしている意味、養成では学生にしろ、社会人にしろ、SVを充実する必要があることなど発表に対して的確な示唆をいただき、有意義な時間を持つことができた。

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第3回大会に参加して

岩田 美香(北海道大学)

東京での第1回研究大会、大阪での第2回研究大会、そして今回の研究大会と続けて参加させていただきました。会を重ねるごとに、参加人数が二倍・三倍に近い形で増えて行き、生まれてまだ間もないこの学会への社会的な関心の高さと学会の勢いを感じました。

特に今回は、わかりやすい基礎研修も取り入れて二日間のプログラムとなり、初日には韓国でのスクールソーシャルワーク活動の紹介や文部科学省の基調講演など、国際的かつ行政の動きにも注目している充実した内容になっていました。さらに、安部大会委員長をはじめとした、ホスピタリティに富んだスタッフの運営が、この二日間を支えてくださいました。どうもありがとうございました。

こうした趨勢は来年度以降もしばらくの間は続くものと予想され、学会が大きな広がりを見せていくことは喜ばしいことではありますが、学会の発展を願って敢えて苦言を申し上げれば、この学会の方向性については常に気を留めておく必要があるかと思います。現段階では、文科省による全国的なスクールソーシャルワーク活動事業が展開したばかりであり、この事業を根付かせるためにも、他の実践から学ぶといった「取り組み」や「実践報告」による情報交換としての研究大会の役割に重きが置かれ、いわば学校ソーシャルワーク「協会」のような組織役割を期待されることが多いと思います。

将来的に学会の規模が大きくなるにつれて、「協会」的役割と「学会」的役割の交通整理が求められてくるのかもしれませんが、実際に事業が先行しているだけに、おざなりなやり方で学校ソーシャルワーク論の本質を見定めていく役割が見失われてしまうことのないように、三歳を迎えたばかりのこの学会を見守っていきたいと思います。

さらにまた学会の規模が大きくなるにつれ、研究大会の参加者や学会員は「お客さん」という立場になりがちです。東京における手作り感あふれる学会の雰囲気を思い出して、私たち学会員ひとりひとりが、この学会を作り上げていくという初心を、自戒を込めて忘れずにいたいと思います。

岩田 美和 (NPO法人Right 代表 福岡県古賀市スクールソーシャルワーカー )

今年度「スクールソーシャルワーカー活用事業」が始まり、福岡県でも5月より始動しています。福岡県では政令都市(福岡市、北九州市)及び県下12地域(26校)に、18名のスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)が配置され、「福岡県SSW連絡会」を作り、福岡県立大学 門田光司教授のご指導の元、それぞれの地域で活躍しています。

その福岡県で、今回、大会が開催されるとのことで、日々手探り状態で業務を行っていた私たちは、この日を待ち望んでいました。福岡県SSW連絡会では、メーリングリストを作成し、SSW以外にも(社)福岡県社会福祉士会・福岡県精神保健福祉士協会等の各団体にもご支援頂いていますが、始動して2ヶ月の間に、まず学校関係者に認めてもらうためにはどうすれば良いか、SSWの業務内容や役割をどうやって伝えていったら良いか、様々な悩みや課題のやり取りが続きました。SSWは現場では一人体制ですので、この連絡会はそれぞれのSSWにとって心強いものになっています。

学会に加入してからというもの、学会関係者や先輩諸氏のSSWに対する熱い思いに触れて気持ちを新たにし、今回、大会に参加して、福岡県以外の方のご活躍や同じような悩みを持った方、また、それを乗り越えられてきた先駆者のお話を拝聴することが出来、2日間を有意義に過ごすことができました。発表者の話の内容は共感することも多く、私たちがこれから積み重ねてゆくであろうケースについても、先行事例から対応のヒントを得ることができました。

文部科学省の基調講演時、SSWの実績は何を持って評価するかという質問に「不登校生徒(児童)の数が減少していることが国民には一番解り易い」との回答がありました。現在私が関わって1ヶ月半の間に1例だけ、不登校が解消されたケースがありますが、その直後に中1ギャップの問題で5~6名の生徒が挙がってきました。勿論、学校全体で取り組まないと数値が下がるわけなく、現代社会において山積している問題の中、SSWがどんなに頑張っても到底無理であろうと思われ、プレッシャーと落胆の思いで帰路につきました。しかし、学会後に拠点校の校長にその話をしたところ、「その生徒の自立にどれだけ役に立ったかが一番大切で、数字ではない。現場はそんなことで評価はしない。SSWも大変だろうけど、急いで結果を出すのではなく、生徒のことを考えながらゆっくりやっていこう。」とご理解のある言葉を頂きました。勿論、文部科学省がSSW活用事業に期待して下さっているのは有難いことだと感じていますが、この事業に関して賛否両論ある中、現場にご理解頂いていることに改めて感謝した次第です。

最後になりましたが、大会運営にご尽力頂いた学会関係者の皆様、並びに、貴重な体験をお話し頂くとともに様々な課題を投げかけて下さった発表者の皆様に、深く御礼申し上げます。

中島 弘美(CONカウンセリングオフィス中島)

第三回全国大会は、厳しい暑さの中7月5日6日の2日間にわたって福岡で開催された。新しく美しい建物の西南学院大学に全国から集まった参加者は300名を越した。本学会の前身にあたる「学校ソーシャルワーク研究会」が2003年3月に東京で開催されたが、その世話人会で集まった時はわずか6名。当時と比較するとこの盛況ぶりは感慨深かった。今年度、文部科学省がSSW活用事業として予算15億4千万円を組み、関心を集めていることも一理あるが、何よりも学校場面でソーシャルワークが必要性とされているからだろうと感じた。

大会初日の午前中には基礎研修があり、もっと学びたいと思うほど具体的な内容を得る機会となった。今回の大会テーマ「学校・家庭・地域の協働と学校ソーシャルワーク」をもとに、シンポジウムで主に福岡県内での実践報告があった。さらに韓国スクールソーシャルワーカー協会会長による隣国の活動情報は、今後も交流を続ける中で相互の進展となることを予感させた。

自由研究発表から有益な情報を多く得ることができた。うかがい知れることは、SSWの活動は、まず教育委員会事務局の理解のもとに、学校現場に溶け込めるかどうかが第一で、その基盤づくりが鍵を握っていることであった。学校そのものが受け入れる体制を整えつつ、人材育成の量と質、実践力アップが急務である。育ち盛りの当学会であるため、参加することで刺激も多いが、現場での実践力が問われるという意味では、厳しい見方をすれば、危機感も持ち合わせているといえるのではないだろうか。

将来は、公立の小学校中学校に限らず、特別支援教育学校、私立公立の高校、あるいは大学など、教育現場にソーシャルワークの視点を広げる必要があるだろう。

日本の実情にあった学校ソーシャルワーク発展のために、私たち学会員が貢献できる事は何かを問い直してみたい。

平原 健三(徳島文理大学大学院博士前期課程)

第3回学会の報告をさせていただきます、徳島文理大学大学院心理学専攻の平原と申します。よろしくお願いします。今回の学会は「学校・家庭・地域の協働と学校ソーシャルワーク」というテーマで7月5、6日に福岡の西南学院大学にて開催されました。

7月5日の午前、立命館大学野田正人先生による学会基礎研修「SSWの活動とアセスメント」とがありました。特に印象に残ったことは、野田先生はSSWrの強みは『つながる力、つなげる力』だと言われ、心理テストよりも、各先生方に足を使って情報収集する方がはるかに役に立つこと等、様々な視点を学ぶことができました。

午後、大会委員長である西南学院大学安部計彦先生の挨拶から第3回大会が始まりました。まず、韓国スクールソーシャルワーカー協会会長である、パク・キョンヒョン先生より基調講演「韓国におけるスクールソーシャルワーカー活動とその課題」がありました。韓国はいち早く学校社会福祉士の資格制度を導入しており、その導入背景など様々な説明をしていただきました。その後、文部科学省基調講演「スクールソーシャルワーカー活用事業の動向」と題し、文部科学省の岡本泰弘氏が講演されました。本年度約15億の予算が組まれた理由を説明をされ、昨今の財政状況の厳しい中、成果のない事業は予算を削られつつあるが、来年度も出来るだけ予算をつけて貰えるよう努力したい旨、述べられておりました。1日目の最後は大会テーマでもある「学校・家庭・地域の協働と学校ソーシャルワーク」という学会シンポジウムでした。コーディネーターは福岡県立大学門田光司先生、シンポジストは、北九州市立今町小学校校長渡邉安郎先生、北九州市立城南中学校校長平池秀幹先生、苅田町教育委員会教育指導係係長竹田賢治先生、福岡市教育委員会スクールソーシャルワーカー奥村賢一先生でした。各発表者とも独自の取り組みを行っており、学校現場におけるコーディネーターとしてのSSWrの必要性を感じました。

2日目午前は研究発表で4つの会場にわかれ、各会場とも様々な視点で研究発表が行われておりました。午後は課題研究「福岡県・熊本県・鹿児島県でのスクールソーシャルワーカー活用事業の動向とその課題」と題し、福岡県は門田光司先生、熊本県は九州ルーテル大学岩永靖先生、向陽台病院岩井佑美先生、鹿児島県は鹿児島国際大学岩井浩英先生より報告がなされました。各県とも特色のある取り組みがなされており、今年始まった事業でもあり、勢いを感じました。今学会の最後は自主シンポジウム「学校のニーズと実態、そしてSSW活動~SSWに関する実証研究報告(科研)」でした。コーディネーターは大阪府立大学山野則子先生、シンポジストは神戸常磐大学短期大学部野尻紀恵先生、大阪府SSWr金澤ますみ先生、学校支援員下田かおり先生、コメンテーターは野田正人先生でした。

目的としてスクールソーシャルワークにおける学校の役割の検討ということを挙げておられ、方法として大阪府内の小中学校教師に質問紙調査を行ったとのことでした。結果から、私はSSWの必要性を多くの教員が認識しているのだな、と感じました。

今年はSSWr事業が始まった記念すべき年でもあり、学会としては多いに盛り上がったことと思います。SSWの分野は今年、事業が始まったとはいえ、まだまだ一般に知られているとは言い難く、同様の活動、研究を行っている人が身近に数少ないのが現状だと思います。その意味でも学会に参加し、交流や情報交換などを行える事は意義あることだと思いました。

以上、拙い文ではございますが、報告とさせていただきます。ありがとうございました。

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「スクールソーシャルワーカーの集い」 佐々木千里 スクールソーシャルワーカー

今回の研究大会の2日目の昼休み、第1回のスクールソーシャルワーカーの集いを開催しました。

少し遅れて参加された方、少し早めに退席された方をふくめ、全国から集まった27名のスクールソーシャルワーカーが一堂に会し、「つながり」ました。

食事をしながらの1時間足らずの集いでしたので、お一人ずつ順番に、お名前、所属、心配事や課題、または展望を簡潔に語っていただいたものの、課題等についての意見交換はできませんでした。しかし、同じスクールソーシャルワーカーでも、地域によっていろいろな違いがあること、一方で、心配事や課題には共通点が少なくないこと等が共通理解されました。

違いの中では、一番わかりやすかったのが、勤務条件の違いでした。とくに、配置型なのか、派遣型なのか、また週当たり何日勤務するのかで活動の仕方が変わります。各ワーカーが、自分に与えられた条件下で、どのようなSSWを展開するのかが、今後のSSWの発展の鍵となるのかもしれないと感じました。  

では、以下にアンケートに書かれていた課題を紹介します。(同じような内容は割愛しています)

 

最後に、スクールソーシャルワーカーたちの声に応えて、野田理事が、「スーパービジョン体制、研修等、さまざまなニーズや問題点、各地域で困ったことがあればメーリングなどに挙げてください。学会でもサポートします。また、学会のホームページでも、どんどん情報を提供します。」と、学会のバックアップ体制を明示してくださいました。今後は、メーリングでも情報提供や意見交換がより活発になることが期待されます。

今回の「つながり」の場は、「自分だけではない、みんなでがんばるときだ」という勇気と元気を与えてくれたと思います。散会後、あちらこちらで笑顔の名刺交換の光景が見られ、スクールソーシャルワーカー同士のネットワーク構築の始まりを感じました。                      

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日本学校ソーシャルワーク学会主催 東北地区研修会(基礎研修)報告

 8月23日、福島市で、本学会主催の東北地区ブロック研修会を開催しました。東北6県、そして栃木や群馬、茨城、遠くは京都などから、100名を越える参加者がありました。

福島で専門職や市民が同じテーブルで活動する特定非営利活動法人福島スクールソーシャルワーカー協会が共催し、後援には福島県教育委員会、福島市教育委員会、福島県社会福祉士会、福島県精神保健福祉士会、福島大学。なお、実施にあたり2008年度赤い羽根共同募金の助成を受けました。その意味では社会福祉協議会の協力もあります。

105名の参加者のうち、6割近くがSSW活用事業に何らかの形で関わる方々でした。東北の事業実施あるいは予定の自治体(教委)、社会福祉士・精神保健福祉士の県協会、東北・北関東あたりまでの学会会員、ホームページを見た方(京都や東京などからも)、福島の協会会員など、こうした方々から情報の伝わった方の参加でした。

一市民や学生・院生から、教育・福祉・保健・医療関係者、研究者、市会議員等の幅広い参加者を前提に、午前中、鈴木(福島大)が「基礎講座」を行い、午後から「文科省のSSW活用事業について」(岡本泰弘氏)、「福島・宮城のSSWrの取り組みの様子」(本学会の宮地さつき会員、高田宣實会員、高橋恵里香理事)という3本立てで構成しました。

第一部の基礎研修では、上述した多彩な顔ぶれを前にして、「つながり」「家庭ー学校ー地域」の協働をテーマに、「総花的」な話題提供。岡本氏からは、文科省の来年に向けての取り組み、実践報告のSSWrの取り組みでは、スタートアップ時期の各自の様子や「ソーシャルワーク的」な実践から一歩踏み出すための自分つくりなどについての報告でした。

今後、自治体雇用のSSWrの方、学校や教委等でSSW事業に関わる教職員、そしてSSWについて様々な立場から理解や協力をもらいたい方々、勉強したい方など、それらを「基礎研修」のパート2、パート3で対応するべきか、「専門研修」として対象者を区分するのか。そいった課題もありますが、まずは、多くの方が「つながる」契機の重要性を感じ、今後の研修のあり方について、開催した側も学ぶことが出来た集会でした。

なお、東北ブロックでは、岩手・盛岡あたりで、冬過ぎに「東北ブロック研修会」を 予定しています。問い合わせは、東北地区担当理事(高橋恵里香)までお願いします。

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